アメリカ科学業界の人種問題対策、実況と雑感

人種問題に揺れ動くアメリカ。学術業界は、どう立ち向かう?

アカデミックキャリアから離れる人種的・民族的マイノリティ大学院生(後編)

論文の著者たちは、アカデミア研究職への興味の喪失と、人種・ジェンダーとの関係を調べるために、著者たちは大規模なアンケート調査を行いました。2012年10月から2013年1月にかけてオンラインで調査を行い、医学・生物学の分野で、2007年から2012年の間に博…

アカデミックキャリアから離れる人種的・民族的マイノリティ大学院生(前編)

学生への講義、研究室の主宰、大学の運営などを通して、アカデミアにおける研究・教育を牽引する大学教員(ファカルティ)。アメリカでは、この大学教員の人種比率が、人口全体の人種比率とずれています。 米国教育統計センター(NCES)によると、2017年には…

理系教育から去りゆく人種的・民族的マイノリティ(後編)

前回のつづきです。 STEM教育をより受容的な環境にして、PEERs(黒人・ヒスパニック系・先住民) が理系教育から去るのを防ぐために、著者は3つの提案をします。以下、要約です。 一つ目は、PEERが理系教育から去るのは学力が足りないから、という考えを疑…

理系教育から去りゆく人種的・民族的マイノリティ(前編)

アメリカの科学研究業界の人種構成には偏りがあります。アメリカの人口全体における人種比率と比べて、学生・研究者における黒人やヒスパニック系の割合が低いのです。科学誌セルに関連する記事が出ていましたので、ご紹介します。 Race matters David J Asa…

アメリカの中学参考書でアメリカの歴史を学ぶ

BLM(black lives matter)運動の背景を理解するためにもっとアメリカの歴史を知りたいと思っていたところ、この本を見つけました。 Everything You Need to Ace American History in One Big Fat Notebook: The Complete Middle School Study Guide (Big Fa…

ポスドク採用における人種・ジェンダーバイアス

アカデミア(少なくとも生物学分野)で研究者・教育者としてのキャリアを目指す人の多くは、博士号を取得した後にポスドクとして働きます。ポスドク期間中に新しい知識や技術を習得し、論文を出版し、業界内での人脈を広げることで、大学・研究所でPI(princ…

黒人人種差別の根絶に向けた米国アカデミアのストライキ(後編)

前回、アメリカのアカデミアで#ShutDownAcademia、#ShutDownSTEMという活動が6月10日に行われたというお話をしました。研究・教育機関の職員、学生、学術ファンディング機関の職員など、学術とSTEMに関わるすべての人に対して、仕事を一日休み、人種差別の解…

黒人人種差別の根絶に向けた米国アカデミアのストライキ(前編)

2020年5月25日、アメリカ合衆国のミネソタ州ミネアポリス。アフリカ系アメリカ人のジョージ・フロイドさんが、白人の警察官に拘束され、首を押さえつけられて死亡しました。この事件をきっかけに、全米および世界各地で、黒人に対する暴力と構造的な人種差別…